5・23県民集会アピール



「戦争をさせない山口1000人委員会」アピール

私たちは、平和を愛する世界の人々と信頼の絆を結び、武力によらずに安全と生存を保持しようと決意し、国に戦争しないことを命じる平和憲法の下、70年間戦争をしないで生きてきました。

しかし、一昨年12月、「特定秘密保護法」が強行採決されました。治安維持法の再来とも呼ばれるこの法律は、市民活動を封じ込め戦争に反対する市民に「非国民」のレッテルを貼るための手段です。そして、昨年7月憲法違反の「集団的自衛権の行使容認」を閣議決定。辺野古への新基地建設の強行や日米安保ガイドラインの再改定など、憲法の平和主義をかなぐり捨て、戦争ができる国へとひた走っています。さらにその具体化のための戦争法案をこの5月14日に閣議決定し、この国会に提出しています。許しがたい暴挙です。

かつて、私たちの国は富国強兵の旗を掲げ、近代化を急ぐあまり国家総動員の無謀な戦争へ突入しました。隣国アジアを侵略し、大地を汚し多くの尊い命を奪い、女性や幼い子どもを巻き込み、人間の尊厳を深く傷つけました。

また、戦争に駆り出された多くの若者は、再び祖国の土を踏むことができませんでした。沖縄の地上戦、市民への無差別攻撃、ヒロシマ・ナガサキへの原爆投下により数百万の命が無残に消えていきました。戦争は殺し合いの地獄です。戦争に大義などあろうはずがありません。言葉にできない傷を背負い、生き残った人々にとって、戦争放棄・戦力放棄を世界に宣言した「平和憲法」はひと筋の光であったはずです。

明治維新の起点となった山口は、戦争に明け暮れた日本の近代史に重要な位置を占めています。負の遺産を検証し、歴史と正面から向き合うことが、私たちに求められています。その意味で、東アジア最大の米軍基地に変貌しようとしている米軍岩国基地から目をそむけることはできません。現在は無論、将来社会を担う若者の平和的生存権を奪い、戦争の種を未来永劫残すことに繋がるからです。2006年の住民投票で、岩国市民は圧倒的多数で「空母艦載機部隊移駐反対」を選択しました。しかし市民の願いは裏切られ、基地機能は強化され、様々な米軍基地関連工事が進行しています。軍事基地は世界の戦争や紛争と連なっています。許すことはできません。さらに、米軍と一体となって武力で世界の「安全保障」に貢献するなどもっての外です。

戦争の世紀であった20世紀を再び繰り返してはなりません。私たちには平和に生きる権利があります。人類の英知「平和憲法」を活かし、政府に戦争をさせない活動を山口に広げ、全国各地の団体とつながり、戦争のない貧困や差別のない、一人ひとりの人権が尊重される、平和な社会を築く行動をすべての人々に呼びかけます。

2015年5月23日
戦争をさせない山口1000人委員会5・23県民集会